ホテルにチェックインするまでの間、少しあたりを散策してみよう。
「上通」、何が違うのだろう。落ち着いた感じがするのは。あ、足元!中央に濃い茶色の細長いタイルが並んで、周りに薄めの茶色。ホテルの廊下のような?写真も撮らず、記憶もぼんやりだから、説明できないけど、なにかシックなのでした。両側に並ぶお店も、賑々しさがないのですね。さっき行った「下通」の方が、日常的なような。
昔好きだった某商店街は、今は、ファーストフードやチェーン店の賑々しい看板が並び、まだ残っていると安心していた店も、いつの間にか姿を消し、ブームの店には、長い行列・・・私などが行くところではないな、と、たまに都心に出ても足を向けることはなくなった。
私の生まれ育った小さな駅の商店街も、代が変わればビルになり、お菓子屋さんもお茶屋さんも、パン屋さんも、皆、後を継がなかったから、1階は貸店舗。行ったって、そう懐かしくは・・・かくいう私の実家も、上を住まいにして、1階は美容院が入っているんだけどね。
勿論、熊本の商店街も中に回れば、様々な事情を抱えているのだろうけど、地方の中心都市のアーケードって、一極集中!みたいなところ、あるじゃない?それが、決して観光客目当てではない、揺るがない佇まいを保っているのは、すごいことだと思う。
一本横の「上乃裏通り」というのも歩いてみる。
若い人がやっている面白い店もあるそうな。安売りワゴンの中に、可愛いブラウスを見つける。買っちゃおうかな・・・。待てよ。旅行の目的が違う。
この前娘に、買ったけどやっぱり私には若すぎるからあげる、とTシャツを送ったら、「もう○○才なんですから、考えて買いなよ」と言われたばかりだし^^;でも、何か掘り出し物があるかもしれないと引っ掻き回していたら、お店の人が出てきたT_T引っ込みがつかなくなって、お店の中にいれてもらう。
アクセサリーや置物や・・・伸びるビニール紐のようなもので編んだ指輪があった。50円!これ、孫のお土産にしちゃおう。ふと横を見ると、3センチほどの小さなフクロウの置物が目に付いた。5体あって、一つ一つ表情が違う。これ、「夫のふくろうコレクション」の仲間にしよう。一番可愛いのを、ひとつ選んだ。
フクロウ見ると、すぐ買っちゃって。「フクロウお好きなんですか。私も大好きです。」しばし、ふくろう談義に花が咲く。「フクロウを腕に乗せてもらったことあるんです。こんな革の防具を腕につけて」←お店の人。怖くなかったですか?私は、夫が・・・だから、私、おしゃべりじゃないってばT_T
家に帰って、出して見たら、
そんなに可愛くなかった。
どこの国の物なのか、聞いたけど、忘れた^^;
ホテルの部屋に入って、まずすることは、スマホの充電^^; 大丈夫、ちゃんと充電されている。100均も捨てたもんじゃない。
今日の夕食は、友人がお店を予約してくれている。何品か料理の注文もしてくれているらしい。行くのは私一人だけどね^^
その前に、熊本城見てこなくては。
一時間あれば、行って帰って来られるかな。一時間半あれば十分よね。
なんだって行き当たりばったりの私も、ちゃんと時間見て、計算して行動することが多くなっているのです。環境の変化もあるし、年のせいもあるし。
それに、旅行は計画しているのが楽しい、というところもあるよね。行きたい場所をピックアップして、電車やバスを調べ、地図に印を付け、どこにどうやって行こう。こうやって回れば、こことあそこに行けるかな。一日に数本のバスを待つのも、予定のうち。それに、どうせ私は一人。ツアーで知らない人と回るのは面倒くさい。今は、おひとり様歓迎のツアーもあるようだけど、そうまでして見たい名所旧跡あるでなし。
今回は、「熊本用ノート」を作り、日程を書き込んだり、時刻表、地図を印刷してベタベタ貼ってみたのです。
カバーをつけたら、2mmのボール紙を使ったので、程よい台代わりになり、メモするにもしっか書けて便利でした。今度拓郎のライブがあったら、これでメモしてみちゃったりして。
CacampusノートのB6(128×182)を入れ替えできるようにした。栞紐に、刺繍糸を撚って、タッセル作って。我ながら良く出来た!地味だけどね。
スマホの地図を見ながら歩くの、苦手なんです。スマホの画面と体の向きが同じにならなくて、逆か、と向きを変えると、スマホの方も回っちゃって、すごーく遠回りのルートが出てきたり。
これ、監獄のお姫様で、「馬場かよ」がやってたよね^^;
監獄のお姫様、録画して見ているのです。愛子さん出ているからじゃないよ。拓郎が好きなものはなんでも好き、と言ったって、近頃の拓郎の「愛子さん話」にはついていけない・・
というわけで、ノート持参で地図を見ながら行った。
熊本城って、こんな近くにあるんですね。バスを降りたときも、前方に見えていたけれど。
ここは、ほんとの城下町なんですね。だから、街が大人の感じもするのかな。
今は熊本城も修復工事中で、中に入れないから、加藤神社から、その様子を眺めます。神社までは、ゆるい坂道を登ってゆく。あたりは、とっても落ち着いた雰囲気で、例えは悪いけど、東京の高級な住宅街の坂を登っている感じ。こんなに広いんだ・・・ぐるっと周りを巡っていると、改めて、その大きさを感じます。
今まで、旅先でお城があれば、当たり前のように行っていたけれど、こんなに静かにお城の存在を感じたのは初めてです。
降りてきて、市電が通るのを眺める。賑やかです。明日は、あの市電に乗って駅まで行くのです。
芝生になってるところは、電停なのかと思っていたら、違うんですね。道路の真ん中、ここを市電が通るんですよ、という印になって、自然の緑がいい感じ。
高知、長崎、広島・・・私が路面電車に乗ったのは、西の方ばかり。
子供の頃、オリンピックまでは「都電」があったけど、私には縁がなく、たまに友達の家に行くのに乗ろうとすると、どこから乗っていいのかわからず、まごまごしてた。降りるときも、車ビュンビュンで、上手く渡れない^^; 流れる道路での真ん中で、島に取り残されるドジみたいだった。
ホテルに戻り、少し休んで着替えます。
私のお洒落なんて、たかがしれているけれど。一人で食事するだけなのだし。でも一応・・・赤いにしようかグレーにしようか、少し迷って、大人しく見えるようグレーを持った来たんだ。もしかしたら昼間の服、スニーカーのままでもよかったのかもしれないけど、変なのが来た!と思われても困るから、無難で行こう、と思ったの。
店主さんが、カウンターの端から二番目の席にを勧めて下さった。今の私には飲みきれないのをわかって、「生」を注文する。まずは生ビールが美味しいよね^^
「辛子蓮根とグルグル」
辛子蓮根、中の辛子が、まだほんのりと暖かく、柔らかくて、とっても美味しかった。辛子蓮根て、ほんとは、こういうのだ・・・
プロの料理人さんの前では、恥ずかしくて、とても言えなかったけれど、昔、辛子蓮根を作ったことがあるのです。40年以上も前。
まだ情報も行き届かず流通も発達していなかった時代です。熊本には、カラシレンコンというのがあるらしい。美味しいのかな。味、見当がつきませんでした。ある日、雑誌に「辛子蓮根」の作り方、というのが載っていた。
これだ!作ってみる。
昔はレンコンも、今のように小ぶりでなのは出回ってなくて、とても大きかったように思います。
辛子、おから、味噌も入れたのかな。辛子はチューブでなくて、粉末でした。その辛子の黄色い粉がねぇ・・・練っていると、辛さが鼻にツンと来て、目にも来て、涙ボロボロ。うーっ、しんど。ようやく辛子味噌らしきものが出来れば、それを穴に詰めるのが、また一苦労。逆さにしてトントンしたけど、なかなか入っていってくれない。上と下から入れても、真ん中が空いてしまう。箸でつついて押し込んだり。
揚げるったって、一本丸ごと・・・箸で転がしながら、つきっきりで揚げた。どのくらい揚げたらいいのかわらない・・・ようやく出来上がった山盛りの辛子蓮根、食べてみたら・・・わけわからない、ただやたら辛いだけの、可笑しなものができてしまったのでした。これじゃ、おかずにならないわ・・・急いで、玉子を焼いたのか、肉を炒めたのか・・・
これは、結婚前だったことは確か。夫がいたら、多分、叱られていた・・・
その日、出して頂いた「辛子蓮根」は、全くの別物でした。家に帰ったら、作ってみようかな・・・性懲りもなくT_T
「グルグル」・・・ネギのグルグルという名前でしたっけ。
茹でた細い青ネギを、ぐるぐるっと巻いて、酢味噌のようなタレがかかっている。
歯触りが、とてもいいのです。ネギもこんなふうにすると、一品になるんだ・・・とっても気に入りました。
家でも作ってみようかな・・・また、出来もしないくせにT_T
五月のお節句に、菖蒲湯にしたのです。
夫が喜んでくれると思いきや、お湯から上がるなり、葉っぱがベタベタ体について気持ち悪い・・・。菖蒲知らないの?そうじゃない。夫の実家では、菖蒲を縛ってお湯に入れるそうな。
適当な長さに折ってたたみ、余らした葉っぱで、周りをグルグルっとして、端を中に入れる。電気コードなどそうするでしょ。あんな感じ。それで、体をこすったりする。体に葉っぱがまとわりつくこともないし、片付けも楽。
ふうん。それから我が家は、グルグルした菖蒲を入れるようになったのです。
熊本の「グルグル」を食べながら、そんなことを思い出す・・・だって、縛り方おんなじだったのですもの。これも、お店では言えなかったでしたT_T
「馬刺し」を出して頂きました。
霜降りと、赤身と、たてがみと。なんとも言えず、美味しかったです。
ほんとは、九州のお醤油、ちょっと苦手なんです。でも、その甘さと濃さが、馬肉の旨みとよく合っていた。関東のしょっぱいお醤油では、違うのかもしれないですね。
「たてがみ」は、見た目、真っ白なラードのようなホワイトチョコのような。5ミリほどの厚さで、小さな四角に切ってありました。
口に含むと、固いのかな、と思った瞬間、すっと溶ける、というか。包丁の切り口というのも大事なんだろうと思います。
お酒は、熊本の日本酒にしました。最初「甘口?」と思ったんです。柔らかいから。でも、飲んだら、辛口なんですね。大好き、こういうお酒。
馬刺しに地元のお酒。幸せです。
店長さんも、アルバイトの女子大生さんも、気を配って下さり、会話も弾み、というか、私が一方的に喋ってm(_)mとても楽しいお酒です。
やっぱり、こういう食事は一人じゃない方がいいな、と思います。
夜、こんなふうに飲みながら食事をするのって、どのくらい久しぶりでしょう。拓郎のコンサートもないのだし。
今、お付き合いのある手芸の友達、体操仲間、町内の知り合い、夜出かけて飲みましょう、なんて人、一人もいない。
昔の友達も、会うのは昼間。ランチでビールをグラスに一杯、がせいぜい。
オフ会がある時は、楽しいお酒が飲めた。でも、それをセッティングするのは毎回私で、私がそれをやめたら、そういう機会が全くなくなった。私って「実は」人気無かったんだ、と思い知った次第でありますです。
予約して、お店の方にいろいろお願いしておいて下さった友人に、心から御礼を言わなくては。
こんなに素敵な夕食の機会を与えて下さって。
馬肉を細く切って、納豆とうずらの卵を乗せたものが出ます。
熊本でも納豆食べるの?
「もうちょっと、お醤油かけよう。」「あ、かけすぎた!」なんて一人でブツブツ言っている私を、店長さんは、どう思ったでしょう。
美味しいですと、言えよ、私。
でもさー、そんなに一口毎に、にっこり笑って「美味しいです」・・・言えないよねー。
だからと言って、バイトの女子大生さんと、竹内涼真の話で盛り上がることはないんだけど^^;
菅田将暉も好き、と言ったら、「チェック細かいですね」。菅田くんのお父さんが拓郎ファンでね、なんて言えないじゃん。
その学生さんは4年生。就職も内定しているそうで、この店で4年間ずっと働いて来たのだそう。途中でやめないで偉いです。こういう接客業で働いたこと、きっと社会に出て役に立つよ。基本は、人との付き合い、接し方だから。偉そうに講釈たれます。自分は、付き合い下手なくせしてねー。
「おかげで、入社の面接の時も、あがらずに、ちゃんと受け答えできました」・・・店長さんの教育が良かったんじゃない?と、ここで店長さんを持ち上げる私。
「あと、だご汁と高菜ご飯が出ます。」
なんて呼んだらいいのだろう。マスターじゃ変だし・・・名前で呼ぶわけにもいかない。バイトの学生さんが店長さんと呼ぶから、やっぱ、店長さんか。
店長さんではない、もっといい呼び名があるような気がする、素敵な料理人、「店長さん」でした。
多分、その店は、郷土料理の店というわけでもないのだと思う。創作ダイニングと書いてあった。
熊本が初めてだという私のために、郷土料理を取り揃えて下さったのでしょう。辛子蓮根も、さっき作りました、とおっしゃっていた。「辛味、どうですか」と聞いてくださった。
3種類の馬刺しも、特別だったのかもしれない。
心を込めて作って下さって、ありがとうございます。
ダゴ汁は、お醤油味で、ダゴ=お団子は、スベスベとよく練ってあって、手で少し薄く伸ばした感じ、丸くないの。
子供の頃、「すいとん」が好きだった私には、うれしいお汁です。
高菜ご飯も、高菜が細く切ってあって・・その切り方が繊細。油で炒め、ご飯と合わせて・・・とっても美味しかったのです。
けど、悲しいかな。私には、もうお腹いっぱい。
残したくないなー。せめて、だご汁は全部飲もう。高菜ご飯、半分残してしまいました。ごめんなさい。
量が多いと言うのじゃないんです。考えられた品数、量だと思います。ただ、私が食べられない・・・T_T
もう一品、店長さんお得意のお料理を注文できたら良かったのに。お店の人気メニューNo1はどれですか、伺って、注文したかったです。
あーあ、あんなに勝手に喋らず、店長さんに、たくさんお話して頂けば良かった。
もう一度行く機会あるかしら?
一期一会と言う。だから人との出会いを大切にしましょう、という使い方もあるけれど、料理は一回きりの勝負。また同じものにはお目にかかれない。一期一会なのです。
今思うのは・・卒業するという学生さんに、お花を贈りたい。
帰りにコンビニで、缶チューハイを一本買いました。昨晩、缶チューハイがあったらいいな、と思ったから。
でも、それ、冷蔵庫に放り込んだまま。いつの間にか眠ってしまった。